立秋(8月7日頃〜8月22日頃)と処暑(8月23日頃〜9月6日頃)暦の上で季節の移り変わりを感じる時。この時期を心地よく過ごすためのヒントをいくつかご紹介します。
「もう、秋?」
肌を刺すような陽射しの中で、暦が告げる「立秋」の二文字に誰もがそう呟くかもしれません。
しかし、いにしえの人々は知っていました。
朝夕の風に混じるほんの僅かな涼やかさ。
空を舞うトンボの群れの翅(はね)の音。
この世界の喧騒の奥深くで、季節は確かにその衣を着替え始めていることを。
「立秋」とは、外側の世界ではなく、
あなた自身の内なる世界の季節が移り変わることを告げる、静かなる合図なのです。
この特別な時に、私たちが本当に繋がるべきものは一体何なのでしょうか。
第一章:『甲申』の月が告げること
~創造性の解放~
8月7日から巡ってくるのは「甲申(きのえさる)」の氣。
これはまるで夏の入道雲のように、あなたの「ひらめき」と「創造性」が、空高く湧き上がる特別な季節の始まりを意味します。
この一ヶ月間、あなたの内なるアーティストは目覚め、
これまで思いもよらなかった新しい「企画」や「創作」への意欲が燃え上がるかもしれません。
どうぞ、その内なる声に素直に耳を傾けてください。
しかしこのパワフルなエネルギーは、諸刃の剣。
ある人には、大きな飛躍の追い風となり、
ある人には、予期せぬ変化や裏切りという嵐ともなりうる。
この二極化の波を優雅に乗りこなす鍵。
それはどんな時も自らの「ご機嫌」を、自らの意志で選び取るという成熟した心の在り方です。
第二章:『お盆』という時空を超えた対話
そして8月は、私たちが自らの「ルーツ」と深く繋がる特別な季節でもあります。
お盆、正式には「盂蘭盆会(うらぼんえ)」。
その起源は、お釈迦様の弟子が地獄に落ちた母を救うために教えを乞うたという、古代の物語に遡ります。
「父母」、そしてその先に連なる、「ご先祖様」への感謝と祈りを捧げる。
それがお盆という習慣の本質です。
少し想像してみてください。
あなたのこの身体は、一体どれほどの生命のリレーの果てにここにあるのでしょうか。
わずか20代遡るだけで、あなたに繋がるご先祖様の数は、実に200万人を超えると言われます。
あなたのその一つの身体には、
200万人の喜びと悲しみ、そして果たせなかった夢の遺伝子が脈々と受け継がれているのです。
今を生きるあなたは、決して一人ではありません。
あなたは、その200万人の生命の代表選手として、今この時代を生きているのです。
第三章:あなたの「軸」を見出す
その200万人の才能は、多種多様。
その中で今世のあなたは、どの才能を開花させ、どのような「使命」を果たしていくのか。
その答えを明確に示してくれるのが四柱推命という叡智です。
あなたがどの才能を発揮しやすいのか。
今どのようなチャンスの風が吹いているのか。
この時代の変わり目に最も大切なのは、
その200万人の想いを背負いながらも他者の価値観に惑わされることなく、自らの人生を生き切るという揺るぎない「自分軸」を持つことです。
もし心が揺れそうになったなら。
軽く目を閉じ、三度深く呼吸をしてみてください。
あなたの内なる200万人の応援団が、あなたに静かな力を与えてくれるのを感じるはずです。
その揺るぎない「自分軸」を日々の暮らしの中で育んでいくために。
いにしえの人々は、季節の移ろいに寄り添いその恵みを感謝と共に受け取ってきました。
ここからは、この「立秋」から「処暑」にかけての時期を、心と身体を慈しみながら心地よく過ごすための具体的なヒントをいくつかご紹介します。
立秋(8月7日頃〜8月22日頃)と処暑(8月23日頃〜9月6日頃)は、暦の上で秋の始まりを告げる大切な時期です。まだまだ厳しい残暑が続きますが、夏の疲れを癒し秋への準備を始めるのに最適な時期ともいえます。
立秋/処暑の過ごし方
暦の上では秋が始まりますが、現実には猛暑が続く時期です。夏の疲れを溜め込まないように体調管理を意識して過ごしましょう。
食という薬膳 ~身体の声を聴く~
いにしえの人々にとって「食」とは、単に空腹を満たすためのものではなく、季節の変化に自らの身体を調和させるための最も身近な「薬膳」でした。
この時期、あなたの魂の器を内側から整えるための二つの食の叡智をお伝えします。
厳しい陽射しによって身体の内側にこもった「熱」は、時に私たちの気力や判断力をも奪っていきます。
食欲が落ちがちなこの時期に人々が「そうめん」を求めるのは、その清らかな水の流れが身体の熱を優しく鎮めてくれることを本能的に知っているからかもしれません。
また「うなぎ」の豊かな滋養は、消耗した「氣」を補い次なる季節への活力を与えてくれます。
暦の上では、秋が始まるとはいえ大地はまだ夏の乾燥を引きずっています。
この時期に出回り始める「桃」「ぶどう」「梨」といった瑞々しい果実は、まさに天からの贈り物。
その甘い一滴は、乾いた身体の隅々までを潤し来るべき実りの秋へと私たちの内なる土壌を豊かに整えてくれるのです。

習慣という調律 ~心のリズムを整える~
日々の何気ない「習慣」に意識的な意味を与えること。
それこそが目に見えない運氣の流れを自らの手で調律するための最も確実な作法です。
「暑中見舞い」が「残暑見舞い」へと変わるこの僅かな時期。
この季節の微細な変化に心を配り、それを言葉として大切な人に届けるという行為は、極めて日本的な美しいコミュニケーションです。
それは単なる季節の挨拶ではありません。
「私はあなたと同じ時の流れの中にいます」という、静かで、しかし確かな魂の対話なのです。
少しずつ日が沈むのが早くなり、夜の闇がその深さを増していく。
それは、私たちの意識が外側の喧騒から離れ自らの「内なる声」に耳を澄ますべき時間が訪れたことを告げる、合図です。
賑やかな場所から離れ一人夕暮れの道を歩いてみる。
窓を開け放ち、闇夜に響く虫の音にただ心を委ねてみる。
その静かな内省の時間こそが、夏の間に散逸したあなたのエネルギーを再び中心へと集め、揺るぎない「自分軸」を再構築してくれる最高の瞑想となるでしょう。
立秋と処暑の時期は、心と体を少しずつ秋モードに切り替えていく大切な期間です。日中の暑さに気をつけながらこの時期ならではの季節の移り変わりを楽しんでみてください。
終章:あなたの物語を織りなす
暦を知ることは、
自らのルーツを知り、
自らの才能を知り、
そして自らが進むべき未来の「時」の流れを知ることです。
その時あなたの人生は、
ただ流されるだけのものではなく、
自らの意志で「しなやかにそして美しく織りなす」壮大なタペストリーへと変わっていくでしょう。
その唯一無二の物語という名のタペストリーに、さらなる輝きの糸を添えるお手伝いができましたら幸いです。