闇御津羽神は、闇龗神(クラオカミ)と共に誕生した、深淵に座す水の女神です。「闇(クラ)」は光の届かない谷底や地中を指し、「ミツハ」は水が湧き出す勢いを象徴します。地中深くで龍神のエネルギーが凝縮され、地上へと初めて現れる「最初の一滴」を司る神格です。

1. 「闇(クラ)」が象徴する目に見えぬ源泉の力
闇御津羽神(クラミツハノカミ)の最大の特徴は、高龗神が「天」を司るのに対し、徹底して「地の底・奥深い淵」を司る点にあります。
🔴潜龍(せんりゅう)の如き力: 地表に出る前の静かに、しかし強大なエネルギーを蓄えた状態の水を守護します。
「潜龍」とはどういう意味か?
「潜(ひそ)んでいる龍」と書く通り「まだ水中や地中深く闇の中にいて、表舞台には出てきていない龍」のことです。
🔴水の出始め「水早(みずはや)」: 岩の間から勢いよく水が噴き出す「誕生」の瞬間こそが、闇御津羽神(クラミツハノカミ)の霊力が最も発揮される時です。

2. 【トピックス】映画『君の名は。』のモチーフとなった女神。
時を超えて現代に息づくミヅハノメノカミとの深い結びつき
闇御津羽神(クラミツハノカミ)は、日本神話「古事記」に登場する「弥都波能売神(ミヅハノメノカミ)」と同一視、あるいは深い関わりを持つとされています。この神様の物語を紐解くと、現代を生きる私たちが困難を乗り越え、自分らしく進むための『大切な知恵』が数多く隠されていることに気づかされます。
『君の名は。』と「みつは」の由来
2016年に社会現象を巻き起こした新海誠監督のアニメ映画『君の名は。』。そのヒロイン・宮水三葉(みつは)の名前の由来は、まさにこの「闇御津羽神(クラミツハノカミ)」にあります。
🔴「みつは」=「水早(みずはや)」: 水の出始め、湧き出しの勢いを意味します。
🔴再生の物語: 神話では、火の神カグツチを生み火傷に苦しむイザナミの「尿(ゆまり)」から生まれたとされています。一見驚くような伝承ですが、これは極限の苦しみの中からさえ、万物を浄化し生かす「命の水」が生まれるという、力強い再生の象徴なのです。
💡 闇御津羽神(クラミツハノカミ)が私たちに教えてくれる「具体的な3つのヒント」
1. 「絶望から再生する」ヒント
神話では、イザナミが死にゆくような苦しみ(火傷)の中からこの神が生まれました。
🔴現代へのヒント: 「もうダメだ」と思うような苦しい状況や、何かが終わってしまう瞬間であっても、そこには必ず新しい命や希望の種(水)が生まれているということ。
2. 「自分を信じて待つ」ヒント
天武天皇が吉野の地で闇御津羽神(クラミツハノカミ)の加護を受け、勝機を待って勝利したエピソードです。
🔴現代へのヒント: 周囲がどんなに騒がしくてもあせって動かず「今は力を蓄える時だ」と自分を信じて静かに待つことの重要性。そして、最も良い「タイミング」は必ず訪れるということ。
3. 「心身をリセットする」ヒント
水が湧き出す「若水(わかみず)」の力です。
🔴現代へのヒント: 情報過多で疲れた現代人にとってただ忙しく動くだけでなく、時折「源泉(本来の自分)」に立ち返り、心の中の淀みを洗い流す時間を持つことが、次に進むための何よりの活力になるということ。
3. 歴史を動かした「吉野」の霊力
闇御津羽神(クラミツハノカミ)を祀る聖地といえば、奈良県吉野郡の丹生川上神社です。ここは歴代の天皇が篤く崇敬した、祈雨・止雨の総本山でした。
🔴後醍醐天皇の崇敬: 鎌倉幕府を倒し、吉野に南朝を樹立した後醍醐天皇も、この地の水の霊力を深く頼りにされました。
🔴天武天皇と勝利のタイミング: 壬申の乱の前、大海人皇子(後の天武天皇)は吉野に籠り、勝機を待つ「力」を蓄えたエピソードは有名です。乱に勝利できたのは、闇御津羽神(クラミツハノカミ)の加護を得て「動くべき最善のタイミング」を待つことができたからだと言い伝えられています。情報が氾濫する現代において、惑わされることなく「自分の最善のタイミング」で行動する力を授けてくれます。

4. 現代に生きる闇御津羽神(クラミツハノカミ)のご利益
かつては「雨乞い・雨止め」が主眼だったご利益は、現代において「物事を動かす良いタイミングを掴む」という力として解釈されます。
🔴情報の荒波に惑わされない: 情報が溢れる現代社会において、周囲に流されず、自分の本来のタイミングで行動できるようサポートしてくれます。
🔴エネルギーの補給と浄化: 山や森の清らかな泉をイメージしてください。水に触れることは、日々あくせく働く現代人にとって、心身の元気を取り戻し、日常の悩みや迷いを洗い流す「魂の休息」となります。

5. 水を司る循環における闇御津羽神(クラミツハノカミ)の役割
高龗神(タカオカミノカミ)が雨を呼び、闇龗神(クラオカミノカミ)が大地に浸透させた水。その恵みが地中深くで清められ、ふたたび生命を潤す「最初の一滴」として形を成すとき、そこに闇御津羽神(クラミツハノカミ)の力が宿ります。
🔴高龗神(タカオカミノカミ)・闇龗神(クラオカミノカミ): 天と地を繋ぐ龍神の力。
🔴闇御津羽神(クラミツハノカミ): その水が地表に現れ、「形となり、動き出す」瞬間を司る龍神の根源。
この三柱が揃うことで水は濁ることなく、永劫に循環し続けることが可能となります。闇御津羽神の姫君は、静かに蓄えられたエネルギーを最善のタイミングで「未来を動かす流れ」へと変える転換の女神なのです。

6. 闇御津羽神(クラミツハノカミ)を祀る代表的な聖地
🔴丹生川上神社 下社【奈良県吉野郡東吉野村大字小968】
闇龗神(クラオカミノカミ)と共にお祀りされ、古来より「水神の総本山」として朝廷から厚い崇敬を受けました。後醍醐天皇や天武天皇など、歴史を動かした指導者たちが、その「動くべき時」を見定めるために頼った聖地です。奈良時代から室町時代まで、朝廷から96回もの祈願記録が残る水神信仰の最高峰。


